6thアルバム『MUGEN』レビュー byよしもとよしとも


8thアルバム『本日は晴天なり』の発売を記念し、7日間連続で、サニーデイの今までのアルバムについて、いろいろな方々に書いて頂いたレビューを紹介していく<サニーデイ・サービス review week>!
本日のレビューは、6thアルバム『MUGEN』をよしもとよしともさんに書いて頂きました!


サニーデイ・サービス
『MUGEN』

1999年10月20日 発売  MDCL1356
¥3,150


1. 太陽と雨のメロディ
2. 恋はいつも
3. 空飛ぶサーカス
4. スロウライダー
5. 八月の息子
6. サイン・オン
7. 江ノ島
8. 時計を止めて夜待てば
9. 真夜中のころ・ふたりの恋
10. 夢見るようなくちびるに




「記憶の中の風景」



国道沿いの殺風景な安売りセンターで、店内の有線放送から「スロウライダー」が流れてきた時のことを今でもはっきりと覚えている。先行シングルとして何度も聴いていたのだけど、まさかそんな場所で聴くなどとは思いもしなかったし、味気ない店内の空気がその瞬間自分の中で一変したからだった。


北風と太陽の例えで言うなら、明らかに後者のアルバム。その暖かな破壊力は、きっと全国の有線放送で流れていたのだろう。


その後ゼロ年代には日本中のあらゆる場所が、人の心さえもが国道沿いの殺風景さに飲み込まれていくわけだが、今アルバムを聴き返してみても、時代性などとは関係なく、確実にある風景へと連れて行かれてしまう。記憶の中の、ずっとそこにある、人生のある場面。ここにはもうないけど、そこにはずっとある。
MUGEN/夢幻/無限とは実に的確なタイトルだと思う。


ところで収録曲「江ノ島」は個人的に泣けるほどの隠れ名曲であるのだが、なぜならばこれオレが描いた短編マンガをモチーフに作った曲とのこと。
んでその短編「ライディーン」執筆中は二作前のアルバム『サニーデイ・サービス』をオレ繰り返し聴いてたのだった。
ちなみに曽我部さんと初めてお会いしたのはサニーデイ解散後。



よしもとよしとも